震災から20日余りが過ぎ、少しずつだが復興の動きがみられる。東北道の全線開通、JR新幹線や在来線の一部復旧など。しかし、原発の状況は未だ収束の道が見えない模様だ。東京電力の社長はとうとう病院に雲隠れしてしまい、代わりに老体の会長なる人物が会見して、明確な解決方法は見当たらず模索中であり、終息に数カ月ないし数年の相当な時間がかかることを認めた。何たることだろうか。やはり、万一の場合に人間が近づけなくなるような放射能問題が発生する原子力発電所は、作ってはいけなかった。しかも、日本は地震多発国だというのに。
今、日本には原発53機が運転中だとか。そのうち、今回の地震で数機が運転中止となり、原発に電力供給を頼ってきた東京などは無計画停電を余儀なくされている。無謀な選択をしてきた日本に回ってきたツケだと思う。確かに、原発を推進してきた政府・官僚・電力会社・大企業の一部の権力者に大きな責任があると思うが、そんなことを言ったところで戦犯を明らかにできるわけがなかろう。どの道、そういった者は「俺の責任ではない、地震が悪いのだ。おりゃ知らねえ。」といって隠れるに決まっている。それよりも、今後より深刻な影響が出る可能性が大きい今回の事故にもかかわらず、国の電力政策を大きく変更しなければならないという強い決意やメッセージが政府から何も発されていないことが気にかかる。せいぜい昨日の、枝野長官が「変更も考えなければならない」程度の発言である。考えたり迷ったりする余地は無いと思うのだが。
そこへ来て、きょうインターネットでオバマ大統領の「原発推進路線に変更なし」の記事である。温暖化防止に重要な能力を持つ原発はやはり電力供給のエースである、ということらしい。しかし、二酸化炭素を排出しない代わりに大量の放射能を放出する原発事故が今後も起こらない可能性は無いと思うのだが、どうしてそれでも原発なのか?太陽光発電や地熱発電・風力発電など、やろうと思えば原発に頼らない電力供給は可能ではないかと思うのは、素人考えだろうか。しかも、日本の状況は未だ収束の道筋すら描けないというのに、このタイミングでのこの発言は何を意味するのだろうか?少なくとも、アメリカに追従している日本政府がこのオバマ発言を受けて「日本は原発推進による電力供給政策を見直す!」と大声で言えるはずがないでしょう、管首相。
もう一度繰り返すが、原発は、今から10年以上前にJCOの事故で作業員の悲惨な死を引き起こし、そして、今回は広範な地域を汚染し死の町村に変えそこに住む人々を強制的に追いやり、または、健康被害に今後何十年と苦しめるだろう大事故を引き起こしたのである。日本国民は、いい加減に原発に懲りるべきだ。このためには、国民全体が動かなければ政治や官僚そしてマスコミのまやかしに再びだまされることになる。国民一人一人が、コントロール不能な原発はすべて廃止すべきこと、そのためには必要以上の電力の使用をやめる覚悟を持つこと、むやみな経済発展の呪縛から放たれるべきこと、それを今度こそ強い意思で行動するしかないと思う。まさに、神が日本国に与えた試練だと思う。
大震災が起こって12日が経った。被害の全貌は未だ明らかになっていないようだ。しかしその中で原発の問題は、深刻になる一方だ。それはさておき、この10日間ほどに起こったことを書き留めておく。
・停電の影響で、電車がまともに動いていないようだ。皆、通勤が普通にできない。自宅待機者や輪番制のような事態も起こっているという。経済もストップだ。
・ガソリンスタンドに長蛇の列。こんなの見たことない。最初の頃は、3時間も待った人がいたらしい。私は1時間30分も待った。石油自体は十分な備蓄があるという。しかし、輸送する業者が休業していたり道路事情により運送できなかったりした模様。それにしても、何故こんなに並ぶのだろう。普段車を乗らない人も、電車が動かないからガソリンを入れるのだろうか。それとも、人が並ぶと私も、と並ぶのではないか?
・スーパーに食品がない。特に、すぐに食べられるものが棚にない。こんなのも初めてだ。パン・米・カップラーメン・納豆・豆腐・缶詰など。東京はそれほど深刻ではないと思うのだが、何故こんな食品ばかりが無いのだろう。生肉や魚は売れ残っているというのに。まるでこれから、穴倉生活でも始めようというのか?災害が来たから、というのでこれらを買い占めているとしたら、全く意地汚いと言いたくなる。それと、トイレットペーパーやティッシュに生理用品も大変品薄だ。人が買うから、余計にまた他の人が買う。悪い人間心理だ。
・原発の事態がどんどん悪くなっていく。建屋が吹き飛んだ時は、原子炉が爆発したのではないかと疑った。この世の終わりではないかと。しかしそうではない、と官房長官が発表するも、今度は燃料棒がプールの水が無くなって露出していると発表される。原子力安全保安院とかいう広報の記者会見は、全く意味不明だ。事態がどのくらい深刻なのかが分からない。放射線の単位も良く分からない。「今すぐ健康に問題があるレベルではない。」という発言も、不気味なだけだ。
・ヘリコプターの注水はどうもうまくいかなかったようだ。そして、今度は特殊消防車による地上からの注水に変更した。消防庁のハイパーレスキュー隊というおそらく最高の精鋭部隊なのだろう。彼らの大活躍によって、ようやく原発の周りの放射線量は低下傾向にあるという。しかし、後で聞いて驚いた。彼らが着用していた防護服は、放射線を遮る効果は無かったらしい。彼らの記者会見で、放射線の恐ろしさを我々は良く知っているからこそ、今回の任務は非常に緊張した、しかし、我々は精鋭であり勇敢であり任務を達成した、と。何と言うことだ。彼らが我々の身代わりとなって、何とか放射能の嵐を抑え込もうと努力してくれたのだ。
・その勇敢な者を含む消防庁に対して、海江田大臣が「言うとおりにしなかったら、お前たちの処遇はどうなるか分からないぞ!」と任務前に脅迫とも取れる発言をしていたらしい。本人が謝罪していたのだから、本当のことなのだろう。それならば海江田さん、どうして「自分も現場で先頭に立つからあなたたちも協力して欲しい」、と原発現場に向かえなかったのだろうか?所詮、自分の政治的立場しか眼中にないのなら、そのくらいのパフォーマンスを見せてみろ。
・私の英会話の先生でもあり、翻訳業務も依頼している外人が、3日前にカナダへ帰国してしまった。何だか寂しい気がしたが、もし、外地で日本人が同じ事態になっていたら、日本の外務省は日本人に対し帰国を勧告しているだろう。それに従うのは、やはり当然のことだろう。自国のことになると、そのあたりが突然見えなくなる。やっぱり、他人事と自分事とはものの見方考え方が異なるのだと改めて気がついた。
さて、今後もまだまだ苦難が続く日本。しかし、冷静に出来事を見ていこうと思う。
皆さま、まずはご無事でしょうか?そして、ご不幸に遭われた皆様がたには震災見舞い申し上げます。
このような地震に遭われた経験は無い、とおっしゃる方が関東では多数いらっしゃるのではないでしょうか。私はその一人です。おとといの14時46分頃の出来事は、この世の終わりかと思いました、正直。いつ終わるか分からない長い激しい揺れ。本棚が倒れてきたら、その後どうなるのかの恐怖の時間でした。幸い、本棚が倒れるまではいかなかったものの、その後の度重なる余震に恐怖はさめやりませんでした。
すぐにラジオをつけ、事務所のスタッフとともに震源や災害の状況を注意深く聞いていましたが、少しずつ明らかになる被害の状況にまた背筋が寒くなり、そして、全貌が明らかにされない状況に想像だけで今後の悲惨さを予測したりしました。わたくし事ですが事務所は確定申告終盤であり、帰宅のために事務所をクローズするわけにもいかず、ぎりぎりまで仕事をして帰宅(私やスタッフは比較的家が近いため、運良く徒歩や自転車で)。テレビをつけると、津波のこの世のものとは思えない映像が次々と流れていました。
さて、まもなく最初の地震発生から丸2日が経とうとしていますが、東北沿岸部の悲惨な状況はまだ全貌が明らかにされていません。内陸部でも停電が続いている様子です。しかも、いわきの原発の状況が本当に心配です。最悪の状況になった場合、今年の日本経済は特に東日本で大きな打撃を受けることになるでしょう。といいますか、壊滅的な打撃を受けた都市の皆様をどうやってどのくらいの期間で復興させることができるのでしょうか。家族や財産を一度に失われた被害者の、精神的ダメージもあります。
次から次へと流されるTV映像を見ていて、憂鬱で暗澹たる気持ちになっています。
なお、最近ブログの更新が滞り気味で、何通かのお叱りのメールをいただいております。これにはある理由がありましたが、今日を境に再びブログの定期的な更新を心がけてまいりますので、今後ともご愛読いただけましたら幸いです。